2009年11月14日土曜日

京都のボナールを観る

 月に一度の休みを利用して、金沢から京都まで行ったことが、確か2回くらいあったように憶えている。京都は高校一年生の夏休みにひとりで訪れて以来だが、何度来ても素晴らしい街だ。市電に乗り継いで、あちこちの古刹を訪ね歩いたり、いろいろな古い町並みを眺めたりしたものだが、あるとき、偶然開かれていた京都国立近代美術館でのボナール展に飛び込みで入った。それまでボナールなんて画家は知らなかった。そのつづりからフランスの画家であろうことは推察できたけれど、それ止まりだ。でも、入ってみてよかった。ルノアールなどの印象派風なんだけど、それより洗練されているというか、ソフィストケイティッドされているような、そのときの私にぴたっとフィットするような画風だった。今でも、その中の少女を描いたスケッチ風の絵を憶えている。たしか、帰りには、そこで絵はがきを求めたような気がする。

そして、実際には投函しなかったけれど、ふるさとに住むある人あてにたよりをそれに書き、末尾に「現在、ぼくはどんな希望も持っていません。だから前へ前へというふうに進む以外ないんだと思っています。」という隆明からの引用をしたような気がする。